2013/11/07

演劇鑑賞小旅行と猫の大冒険 猫編

ほくほく気分で帰宅の、その後。
さて、ここからが問題の、猫の話である。
留守にしている間に猫たちのトイレも汚くなっているだろうし、
多めに入れておいたごはんもなくなって、きっとお腹も空かせているだろう。
一泊くらいならいつもなんなく留守番してくれる猫たちなのだが、
帰ってみると、今日はなんだかいつもと様子が違う。
まず、出迎えがないのだ。

いつも通りだと台所の手前のドア(猫は台所へは入れない)のところまで
あけろあけろと押しかけて来るはずなのに、気配がない。
おかしいなと思って様子を見に行くと、トイレのドアが開いているではないか。
中を覗いて、トイレの中にはいないのを確かめてドアを閉める。
そして辺りの廊下には何かわからないものを食べてしまったあとの、
木のくずのような、草のようなものの吐瀉物がいくつか落ちている。
トイレの中は今は使われていない男子便器や隅の方が汚かったり、
古くなって壁が朽ちてきているところもあるので、
なにか見つけて食べてしまったのかなと思いながらショックで立ち尽くしていると、
おそるおそる、といった感じで、二階からトビが降りてくる。

ここで、カフェで預かってもらっていた留守中の宅配便を
受け取りに行っていたタケシくんが帰ってくる。
タケシくんに二階で猫トイレの掃除をしてもらい、床を掃除していると、
「ミツがいないよー。」と上からタケシくんの声がする。
そういえば私も、帰ってからまだミツの姿をみていないのだ。
おふとんの中で寝てるんじゃないの?と言うも、ふとんの中にもいないとのこと。
すると、どこからか、か細いミツの声が聞こえてくる。
本屋のほう?いや違う、なんとミツはトイレの中にいたのだ。
ドアを開けると体中が思い切り汚れたミツがそそくさとトイレから出てくる。
あれ、さっき中を見た時はいないような気がしたのだけど、
死角の多いトイレの、隅の方に潜んでいたのだろうか。

それにしても、どうもおかしいのだ。
ミツの体の汚れ方が、明らかにおかしい。
いくらトイレの隅の方にほこりが溜まっていたであろうといっても、
体中に、くっつき虫がついているなんてことは、どう考えてもあり得ない。
これはもしかして、外に出てしまったのでは…。
前に一度私の留守中の来客時に、ドアがしっかり閉まりきっていなかった
トイレへ侵入したトビが、窓から脱走してしまったことがあるのだ。
でも今回はトイレの窓は開いていなかった。
まさか、出て入ってきた後に窓を閉めるなんてことは
いくらなんでもできないだろう。(というか、猫はそんなことしないだろう)
じゃあ、どこから?家中の窓という窓は閉まっているというのに。
二人で探しまわっていたら、トイレの足元にたぶん換気のためについている小さな窓で、
縦の高さがちょうど、猫が出入りできるくらいの大きさの、
この窓が開けられているのをタケシくんが発見。
ここだ!ここの鍵が開いていたのだ。
(人間に通れるような窓ではないし、猫はトイレに入れないようにしていたので、
今までこの窓の鍵を確認したことすらなかった)
横にスライドするドアは、重くなければ開けてしまうので、
トイレに入って遊んでいて、窓が開くことに気がついてしまったのだ。
もしかしたら留守の間に何度か出たり入ったりしていたのかもしれない。
帰った時にトイレを覗いて姿がなかったのは、ミツはその時きっと外に出ていたのだ。

すぐにミツを捕まえて、お風呂で洗う。
小さなくっつき虫を取るのでまず一苦労。
そして、嫌がって泣き叫ぶミツ。
洗われるのはいつも嫌がるので、よっぽど汚れないかぎり
あまり洗わないのだが、外に出てしまったからにはしかたがないのだ。
我慢してもらうしかない。

続けざまにトビも洗う。
よく見たらトビにもひっつき虫がたくさんくっついていた。
うん、これは二人とも外に出たな。
ミツの泣き叫ぶのを見て逃げようとしたトビ。
それをすかさず捕まえたタケシくんはトビに引っ掻かれてしまった。
私にバトンタッチした後はどうやら観念したのか、
ほとんど最後まで大人しく洗わせてくれた上に、
ドライヤーもあまり嫌がらなかったのでとても助かった。

疲れて帰ってきたところにとんでもないことになったものだ、
という気持ちが一瞬よぎったが、
でも猫が二匹とも怪我もなく無事に帰ってきてくれたのだ。
ちょっと汚れたくらいですんで、本当によかった。
元はといえば、これは私たちの不注意が招いたことなのだ。
まさかトイレのドアを開けてしまうとは思わなかったけれど、
猫を飼っていると、そういうこともあるのだ。
ある日突然それまでできなかったことができるようになることがある。
猫の手の届くところの鍵を気づかず開けていた、私たちの不注意なのだ。
しかも、よくよく考えてみれば、トイレの外にはあの、
事故で空いた塀の穴がほんのすぐ横にぽっかりと口を開けている。
ひとたび穴の外に出れば、目の前は交通量の多い道路なのである。
もしも我が家の猫たちにあと少し注意深さが足りなかったとしたら…。
考えてみるだけで、ぞっとする。
帰ってきてくれてよかった。只只、それだけだ。

今は不衛生にしているとよくない時期だという気持ちもあり、
猫を洗い終わったら今度は階段と廊下のぞうきんがけをする。
それにしても、例えば二人目以降の妊娠で上に子どもがいたとしたら、
毎日がこんな生活なんじゃないのかしら。
世のお母さんたちはすごいのだ。
これくらいで弱音を吐いてはいられないな。
なんだか子育ての予行演習をさせてもらったような気分になる。

一通り片付いたら急にお腹が減る。
前の日の残りのカレーを食べて、ちゃっかりケーキまで食べ終わり、
しばらくしたら疲れがどっと体中に回ってきて、ぱったりとふとんに倒れ込む。
タケシくんが湯たんぽを入れてくれたところでぷっつり記憶が途絶える。